痔にはいくつかの種類があります。
人に見せたくない部分ですし、「痔なんてそれほど大ごとにはならないのでは?」とお考えの方も多いのではないかと思いますが、薬だけでは治らない病気や、放置すると状態の悪くなっていく疾患もありますので注意が必要です。
下記のような症状でご困りの方は、是非ご相談ください。
・便に血が混じる。
・おしりを拭いた際に紙に血がつく。
・便の色が赤黒い、もしくは黒い。
・最近になり、便秘がちになった。
・便秘と下痢を繰り返している。
・便が細くなった。
・おしり(肛門)の周りが痒(かゆ)い。
・おしり(肛門)の周りにイボのようなものがある。
・おしり(肛門やその周囲)が痛い、もしくは押すと痛みがある。
・おしり(肛門やその周囲)が痛く熱がある、もしくは熱っぽい。
・便をした際におしり(肛門やその周囲)が痛い。
・おしり(肛門やその周囲)が腫れている。
・腫れた部分が痛い、もしくは押すと痛みがある。
・おしりから分泌物が出る、もしくはパンツが汚れる。
・おしり(肛門やその周囲)にしこりがある。
・便の時におしり(肛門)から痔のようなできものが出てくる。
・おしり(肛門)の中から常に痔のようなできものが出ている。
上記の症状は肛門疾患で良く見られますが、上記のような症状を訴えて来られた患者様の中には大腸がんや直腸がんであったことも、少なくありません。がんは進行するまで、ほとんど症状を出してくれません。がんの初期症状を見逃さないようにご注意ください。
当院ではおしり(肛門)の診察のみでなく、内視鏡(大腸カメラ)を用いた大腸の検査も月曜日~土曜日まで行っております。お気軽にお問い合わせください。
内痔核(ないじかく:イボ痔)
いわゆるイボ痔です。主症状は排便時の出血と痔の肛門外への脱出で、痛みを伴う事はあまりありません。
立ち仕事の長い方や、便秘の方、排便時に過度にいきむ方、妊娠中の方などに起こることが多いです。
痔の程度はその症状によって下記の4つに分類されますが、手術の適応となるのはIII度とIV度の痔だけで、高度な痔の脱出や、多量の出血など を伴わなければ、無理に手術を行う必要はありません。
I度 :ごく軽度の痔の初期の段階で、痔の脱出はなく、症状は軽い出血程度のもの。
II度 :排便時に痔核の脱出を認めますが、自然に肛門内に痔核が戻るもの。
III度 :痔核が外に脱出して、指で押し込まないと中に戻っていかないもの。
IV度 :指で押し込んでも戻らずに、出たままの状態となってしまったもの。
治療法としては、(1)内痔核自体を切り取る方法、(2)ALTA療法といって痔を特殊な薬で固める方法、(3)ゴム輪結紮療法といって痔を縛る方法、などがあります。
(3)以外は十分な麻酔下に行わなければならないため、日帰り手術や入院での治療が必要となります。
外痔核(がいじかく:イボ痔)
外痔核もイボ痔の一種ですが、内痔核とは成因が全く異なります。
肛門にできる血栓(血のかたまり)が原因で、便秘をしていて固い便が通った際や、強くイキんで肛門に一気に圧力が加わった際、また肛門を強く拭いた際などに起きます。
一般的には切る必要はありませんが、腫れがひどく痛みが強い場合には、局所麻酔下に切開をして血栓を外に出してあげるような処置を行います。
裂肛(れっこう:切れ痔)
いわゆる切れ痔です。症状としては血便や排便後の出血、またピリピリとした痛みなどがあります。
肛門内の皮膚の部分が、固い便や勢いよく出た便などによって裂けることによって起こります。多くは排便のコントロールと軟膏の塗布で改善します。慢性的になるといつも切れる部分が潰瘍となり、ひどい場合には肛門が狭くなり手術が必要になる場合もあります。
肛門周囲膿瘍
主症状は、徐々に進行する肛門周囲の痛みで、悪化すると38度以上の発熱を認めることもあります。
肛門の皮膚と腸の粘膜の境目である歯状線(しじょうせん)にある肛門陰窩(こうもんいんか)という窪みから細菌(主に大腸菌)が侵入し肛門腺で菌が増殖することによって起きます。
通常は皮膚が自然に破れるか、皮膚を局所麻酔下に切開することによって、皮膚の下に溜まった膿を外に出さなければ改善しません。またこじらせるほど、膿の溜まりも拡大し、治癒するのにも時間がかかりますので、早期の診断と治療が必要です。
痔瘻(じろう)
肛門周囲膿瘍の際にできた肛門陰窩からの道がふさがらずに、肛門内と皮膚との間に膿の通る瘻孔の出来てしまったものを痔瘻と呼びます。痔瘻には単純な痔瘻と複雑な痔瘻が存在しますが、いずれにしても根治するためには手術が必要となります。特に複雑な痔瘻は手術も難しく、手術をしても再発してしまうケースが多いため、肛門外科の専門家による手術が必要です。